不幸ニ愛サレ嘘デ固メタ窮屈ナ笑イ

どうしてこんな唄かいたんだろう。烏の贋物にちょっと世界が似てる?
でも、烏の贋物よりは古い唄です。
でも、これが僕の本当の姿なのかもしれない。


真っ白な空間の中 僕は原色の妖(あやかし)から 逃げようと必死だった 妖は 逃げても逃げても 僕の眼前に現れて

人間は 何故に立ち止まることを知らないのか 無敵の魔都(バビロン)は 赤く血に濡れたネコのツメのように 鋭利な月明かりに彩られて 極彩色(あざやか)に塗りつぶされた都市(まち)に 人間(ひと)はひしめきあって 押しつぶされ スリ切れても 汚れた楽園(パラダイス)から出ていこうとしない

あの 白い空間の裂け目に存在する暗闇は 原色の妖をも溶かしつくす無敵の空間 そこへ逃げこむことができたら そこへ飛びこむことができたら 僕は 苦しい現実から解き放たれるのに

魔都(バビロン)から天空(そら)へ 人間(ひと)は手を伸ばす 星が手に届きそうになる 底なしの欲望にひからびた地球の亡者達 永遠の平和がほしくて 永遠の平和がほしくて でも 心の中の平和と 現実の平和は違う 現実の平和に押し殺された人々は 山のようにいるのだから 神様は偽善者 自分が可愛くて 本当は 誰も救おうとはしないのだ

そうしている間にも あの娘(こ)はどんどん綺麗になって 僕の横(サイド)をすり抜けてく 底なしの穴があいた どうしようもない淋しさが 僕のまわりを取り巻いた 艶めき輝く眩しい闇が 僕を呼んでいる 安楽の幻影の前に立ち こちらに向けて微笑(わら)いかけている 妖艶なまでに美しい闇が 手まねきをしている 埋めつくせない悲しみを埋めようとして 暗闇の中へ飛び込んだ

どうして 永遠の平和は見つからないのだろう 孤独を盾に虚無(アンニュイ)と戦う 誰かの手がなければ この終わらない闇からは抜け出すことができないのだ 現実から逃れた代償に 僕は血を流す 止まった闇の空間が 硝子(ガラス)の心を締めつける 無気力の剣を手に 永遠の静寂(しじま)と戦った

今 あの娘(こ)は水鏡の向こうにいて 僕のことなど気にも止めずに 国道の向こう岸を見ている そして 何処か知らない都市(まち)へ走り去った 涙が とめどもないほどあふれ出す ここは闇の底なのだ……

黄金(きん)色の熾天使(セラフ)は 白き御手をさしのべることもなく 陽に透けた翼は 邪な時間ときの流れに汚されて キズつき 倒れて それでも圧力(ちから)に抗った この深い闇は僕自身 堕ちた自分と戦って死ぬか 誰かの助けをひたすら待つか この闇にはそれしかないのだ すでにキズだらけになっていた 無感動の冠(ティアラ)は暗闇にいっそう鈍く光り

熾天使(セラフ) あなたが来るのをただひたすら待っている 蒼ざめた夢の入口に口づけ 六枚の翅翼(はね)を風にきらめかせるあなたが この終わることのない永遠の闇から 連れ出してくれるのを待っている ここは 暗くて冷たい--

いや 天使さえも 僕の声を聞き入れてはくれないのだ つくり笑いで闇の底に狂う 白一色の空間 心に潜んだ終わらない闇 原色の妖は 僕の前に立ちはだかる現実の障壁(かべ) あのとき妖に立ち向かっていたなら 僕は闇空間(ここ)にはいなかった 全ての感覚を失った僕は 永遠の不幸につきまとわれて 自分についた虚言(ウソ)でがんじがらめにされた 感情のかけらもない窮屈な微笑(わら)いに 心を引き裂かれて死んでいくんだと そう確信した

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Posted by CINDY