– J E T –

現実なんて、僕を縛りつけるだけのくだらないもの。
軽く目を閉じると聞こえてくる、空を駆け抜けるジェットの爆音。
その音に合わせて、ひとりでに身体が動く。
無意識に、心が宙を舞う。
『ソコニイテモ、ナンノイミモナインダヨ』
そう教えてくれる、高度数万キロの水の粒たち。

耳を突き抜け　空を切る
ジェットのリズムが　僕を何処かへ連れていく
遠くて　近い　現実(ここ)とは違う何処かへ
空を見上げて　トリックダンスで
飛行機雲にぶら下がる
僕の意識は　空の彼方に
銀河の果てまで　飛んでいく
そう　いつだって
僕は現実(ここ)にはいないんだ
こころを閉ざして　宙に飛ばして
夜明けと夕闇の中に　いるんだもの