消えない

確かに、もうこの世にはいないはず。
あれから、もうかなりの年月が経っているはず。
なのに、彼等が近くにいるような錯覚に陥るのは、何故だろう。
過去を夢に見る。
それは、なにも昔の仲間に限られたことじゃない。
いいかげん忘れてもいいはずなのに。
……突然姿を消した者たち。
しかし、何故だか、まだ、この世の何処かで生きているような。
そんな感覚に捕らわれてしまうのだ。
彼等の姿が脳裏に蘇る。
まるで魂に刻み込まれたかのように。
不思議なまでの存在感。
消えないのか、それとも、消せないのか。
記憶のすべてを失わない限り。


ある日突然、目の前から消える。
そのまま、二度と逢えない。

しかし、まだ、すぐそばに、いるような気がする。
また、どこかで、逢える気がする。

--死を感じさせない存在。

1週間、1ヵ月、半年、1年、3年、5年、10年、あるいはもっと。
永遠の別れからどれほど時が経っても、変わらない存在感。

無意識のうちに、幾度もその名を口にする。
またここに、帰ってくる気がする。
振り向くと、そこにいるような気がする。
何処かから、僕の名を呼ぶ声がする。

夢。錯覚。空耳。勘違い。

期待してしまう。叶わない願いなのに。
それでもみんなが、そばにいる気がする。
見えないだけで、すぐ近くに。

……病気だ。