殺人金糸雀
10年前の恋の話。
たった半年間は、一瞬なのか、永遠なのか。
10年間もときめいたまま。
僕の心は10年前に金糸雀(カナリア)に殺されている
その金糸雀はとても美しい声で鳴く
その金糸雀は黒い髪をしている
その金糸雀はいつも顔色が悪い
その金糸雀の口元は血のように紅い
その金糸雀の指先はとても綺麗
その金糸雀の眼差しはいつも遠い
半年間は その先の恋にくらべればほんの一瞬
半年間は その先の恋にくらべれば限りなく永遠
その口からは いつもほしい言葉があふれ出す
その声は いつも心地よく響く
その手の平は いつも優しく僕をなでる
その髪は いつも幽かな匂いがする
その腕は いつもふんわり僕を包む
その瞳は いつも僕を見てくれている
『俺はきっと堕ちるだろうね』
「何処へ?」
『天国へ』
『天国はきっとつまらないところだから』
しばらくすると金糸雀は堕ちた 同時に僕の心も堕ちた
金糸雀は天国へ 僕は地獄へ
いまはようやく 落ち着いていられるけど
でも たまに 気になる
100年 経ったら 逢える だろうか?
僕の心は10年前に金糸雀(カリスマ)に殺されている
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